Q1.どうして投げ方によって痛みが出るのですか?
A1.とくにオーバースローで投げるときに、肘の位置が肩の高さまで下がり、いわゆる「担ぐ」投げ方になっている場合に障害を起こしやすいと思われます。 |
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| | そこでピッチャーの投球動作で順番を追って説明します。 ● テイクバック ボールを握ってテイクバックにいく途中、ボールの軌道が、①グローブ→②肩の高さ→③トップという流れになっていませんか?元々のグローブの位置が高い人に多く見られます。その位置でボールを握るには肘を鋭角(75度など90度より少ない角度)折りたたんで握ります。そしてココからが問題で、そのままテイクバックのトップ位置まで一直線(グローブ→肩→トップ)、もしくは肩の動きとしては前側から上に挙げる動きでテイクバックを行っている方が結構多く、すると、肘の関節位置(肘頭:肘のうしろの尖った部分)は十分に挙がりきらず、当然ながらトップの位置は下がり、肘の関節も鋭角になったままになりやすいんです。
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| | テイクバックの際に 1. ボールを持った腕を下から後ろへ回すように動かす(ボウリングのボールを後ろに回す動きと同じ方向) 2. ボールのトップ位置は肩より高く 3. トップ位置では手のひらを向こうに、つまり手の甲が自分に見えるように 4. 肘の角度は90度以上に開くことが望ましい
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| | ● リリース 試してもらえればわかるかと思いますが、とくにオーバースローの場合、ボールを「タテ方向に後ろから前へ」運ぶためには、まず下がったトップ位置から鋭角になったままの肘を前方向に持っていかなければなりませんが、下がった肘はタテ方向には動けませんので、仕方なく肩の外側を水平に動くことになり、肩から肘にかけてのライン(上腕骨)は水平のラインをトレースすることになります。つまりボールをリリースするまでに「肩から肘は水平に」、「肘から手首はタテ」と別々の動きをしますから、ボールに対して伝わる力は少なくなり、当然ながら速いボール、遠くへのボールは投げにくくなります。その上、肘の下がるということはリリースポイント(ボールを離す位置)も下がりますから、そのままでは遠くに投げることは難しく、投げるためにはリリース時に鋭角に曲がった肘関節を強くねじり込むことになり、より速いボールを投げよう、より遠くへ投げようとすればするほど大きい力が肘関節周りに集中することになります。
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| | 1. トップからリリースに向かう時には肘をたたまない 2. 肘から前に持っていく(肘の高さが肩より下がらない)イメージで腕全体をしならせるように振る 3. グラブの位置を下げ気味にする(両肩が水平にならないようにグラブ側の肩を下げる)
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| 肩関節の項目でも書いていますが、肩関節は“けん玉”のようなもので、球が上腕の骨頭部、球を乗せる部分が肩甲骨のくぼみ部分に例えることができます。肩甲骨の浅い臼のようにくぼんだ部分に上腕の頭の部分が乗っかっているだけの構造ですが、関節の動き(可動域)はある程度制限されています。手のひらを下に向けて肩を横から挙げるとき(外転)には90度から95度くらいまでしか挙がりません。そしてそこから150度(+60度)くらいまで挙げるときには肩甲骨の回旋と、胸鎖関節(胸の真ん中にある板状の骨と鎖骨とでつくる関節)、肩鎖関節(肩先に尖った部分と鎖骨でつくる関節)の動きで補っています。残り30度は背骨(脊柱)を反対側に反らせることで補い、180度くらいまで挙げることが出来るのです。つまり、オーバースローで後ろから前へ真っ直ぐ投げるためには、利き腕を挙げるだけでは角度が足りず、カラダを反対側に反らすなどの別の動きが必要だということです。 元大リーガーの「野茂英雄」さんのフォームで説明すると、野茂さんのボールを投げる軌道は真上から真下に振り下ろす形ですから典型的なオーバースローになっています。しかしながら実際には、肩関節の動き自体はスリークウォーターに近いものです。これはどういうことかと言うと、右利きである野茂さんが、左肩だけでなく上半身を大きく左に傾けることでリリースポイントを真上高くに持っていき、ボールを真上から真下に振り下ろすフォーム、つまりオーバースローになるわけです。しかし、リリース時の角度のままカラダを起こすと右肩は右斜め上に向かっている、つまり肩関節の動きはスリークウォーターの動きとなっているということがわかります。
このフォームのメリットは、 ● 肩関節にとって可動域内の負担の少ない動きであるスリークウォーターであることで故障が起こりにくい ● 右斜め上から左斜め下に振り下ろすことで、右の大胸筋(だいきょうきん:乳房の上の胸の筋肉)の力を利用できること ● 右斜め上から左斜め下に振り下ろすことで、左の背筋の力を利用できること ● 右斜め上から左斜め下に振り下ろすことで、下半身から上半身に向かう捻れの力を利用できること ● 真上から真下に投げることで左右のコントロールが良くなること(左右のブレが少ない) などが挙げられ、腰への負担を除けば、トルネード投法にはピッタリの投げ方と言えるでしょう デメリットは、 ●腰や背筋への負担が他のフォームに比べて大きい ●高低のコントロールが難しくなる ●バント処理への対応が遅くなる・・・かも(?) などが挙げられます 筋トレとストレッチなどのケアは必須でしょうね
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| | テニス肘 正式には上腕骨上顆炎といいます。前腕筋(主に肘から手首あたり)の腱付着部に起こる炎症の一つで、肘関節(正確には上腕骨の一番下部分)の内または外側に起こります。これはテニスラケットやゴルフクラブを握るときに、指や手の関節を曲げたりのばしたりする筋肉が、肘周辺に付着しており、その付着部が負荷をくり返し受けることで、炎症や、ひどい時には部分断裂をおこし、肘関節の内・外が痛むようになります。症状としては、手を反らしたりしたときの痛みや、握力の低下などがあり、タオルをしぼったり、ものをつかんだりする日常動作でも痛みが出ます。発症は外側がほとんどで、一般には外側に起こるものを「テニス肘」と呼ぶようです。テニスの場合、バックハンドでリードする側の肘(右利きのバックなら右肘)、ダブルハンドのフォアなら左肘に起こりやすく、これはインパクト時のボールの勢いとラケットの重さで、打つ方向と逆の方向(押し戻す方向)に負荷がかるためです。しかし、テニスをしていなくても、家事や仕事、趣味などが原因でも起こりやすく、中年の女性にも多く発生しますので使いすぎとも考えられます。一方、内側に起こる場合は「ゴルフ肘」とも呼ばれますが、テニス肘ほど多くはないようです(競技人口の差もあるかと思います)。ゴルフの場合、右利きなら右肘の内側に起こりやすく、やはりインパクトの瞬間にボールにかかる衝撃と、セカンドショット(第二打)以降では地面との摩擦(いわゆるダフリなど)による負荷などがかるためでしょう。また、握力の弱い人がラケットやラケットの細いグリップを使った場合では、インパクトでフェース(ボールが当たる部分)が動かないように、ボールの勢いに負けないように、必要以上に手を強く握り(とくに小指を強く絞り)そのまま打ち抜く動作をすることで肘関節に大きな負荷がかるため起こりやすくなると思われます。
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| | ● フォームの改善(フォア・バック・サーブ・スマッシュなど) ● 日常およびテニス(ゴルフ)前後の前腕(肘から手首)のストレッチ ● ガットを張り替えたり、ラケットを換えたりした時期の積極的ストレッチ ● 滑りにくいグリップテープ(ラバータイプなど)を巻いて必要以上に強く握らないようにする ● 自分の握力にグリップの太さにする(握力の有る方は細めでも構いませんが、あまり無い方は太くする) ● 必要以上にガットのテンションを上げない ● プレースタイルに見合ったガットのテンションに耐える握力(筋力)を付ける ● 自分の握力(筋力)に見合ったプレースタイルにする ● 鉛などによる重心の調整(ヘッドヘビーなど遠心力の利用) ● スマッシュやサーブの際に無理なストレートばかり打たない(ラケットを利き腕と同じ側に振り下ろさない) |
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